技術士総合技術監理部門2020択一問題解説 問39

1-1-39 環境影響評価法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① 計画段階環境配慮書では、第一種事業に係る計画の立案段階において、環境の保全及び費用対効果の観点から配慮すべき事項を検討した結果をとりまとめることが義務付けられている。

② 環境影響評価方法書をもとにして、環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法などをとりまとめるための手続をスクリーニングという。

③ 環境影響評価準備書では、環境影響評価の結果のうち、環境影響評価の項目ごとの調査結果の概要並びに予測及び評価の結果とともに、環境の保全のための措置及び環境影響の総合的な評価についても記載することが義務付けられている。

④ 環境影響評価書は、環境影響評価準備書に対する国民、市町村長、都道府県知事及び環境大臣等からの意見を聴取した結果を踏まえて作成することが義務付けられている 。

⑤ 環境影響評価書に記載された全て(不確実性があるもの)の環境の保全のための措置については、事業実施後にその結果の報告が義務付けられている。

【正解③】

【解説】

①誤:計画段階環境配慮書とは、事業の早期段階における環境配慮を図るため、第一種事業を実施しようとする者が、事業の位置・規模等の計画の立案段階において、その事業の実施が想定される1又は2の区域(複数案)において、環境の保全について適正な配慮をするべき事項について検討を行い、その結果をまとめたものである。従って、費用対効果の観点は含まれていない。

②誤:スクリーニングは、開発事業について環境影響評価を行うかどうかを決める手続きである。スコーピングは、できる限り早い段階から環境配慮を行うとともに、的確な環境影響評価その他の手続きを行うため、対象事業に係る環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法等について環境影響評価方法書を作成し、この方法書を公告・縦覧により内容を公開し、住民の方々・専門家・行政等の外部の意見を聴取することによって、適切な項目及び手法を選定することである。

③正:環境影響評価準備書には、項目ごとに調査・予測・評価の結果を整理したもの、環境保全のための措置(複数案などの検討経過も含む)、事業着手後の調査、環境影響の総合的な評価などについて記載することが義務付けられている。

④誤:環境影響評価評価書とは、事業者が準備書に対する環境保全の見地からの意見を有する者、都道府県知事等からの意見の内容について検討し、必要に応じて準備書の内容を修正したものである。作成された評価書作成後の手続きは以下のとおりである。 1.評価書は、事業の免許等を行う者等と環境大臣に送付され、環境の保全の見地からの審査が行われる。 2.審査の結果、環境大臣は必要に応じて事業の免許等を行う者等に環境の保全の見地からの意見を述べる。免許等を行う者等が地方公共団体の場合については、必要に応じて環境大臣に助言を求めるように努めなければならないこととされている。 3.事業の免許等を行う者等は、環境大臣の意見を踏まえて環境の保全の見地から事業者に意見を述べる。 4.事業者は意見の内容をよく検討し、必要に応じて評価書の内容を補正した最終的な評価書を作成し、都道府県知事、市町村長、事業の免許等を行う者等に送付する。 以上から、環境大臣は準備書の段階では意見を述べないが、評価書の段階で意見を述べる

⑤誤:環境影響評価報告書に記載される範囲は、「回復することが困難であるためその保全が特に必要であると認められる環境に係るものであって、その効果が確実でないものとして環境省令で定めるものに限る」としており、すべての環境保全の措置を対象としているのではなく、保全が特に必要であると認める環境に係る措置であって、その環境保全措置の効果が確実でないものに限る、と限定して対象としている。

技術士総合技術監理部門2020択一問題解説 問38

1-1-38 第五次環境基本計画等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 環境基本計画は、環境基本法に基づき、環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱等を定めるものである。

② 第五次環境基本計画は、持続可能な開発のための2030アジェンダや、温室効果ガスの排出等に係るパリ協定なども踏まえ、定められた。

③ 第五次環境基本計画では、各地域が自立・分散型の社会を形成しつつ、地域資源を補完し支え合いながら農山漁村も都市も活かす「地域循環共生圏」の創造を目指している。

④ 第五次環境基本計画では、様々な環境分野におけるそれぞれの特定課題を直接的に解決することに比重を置いた分野別の重点戦略を設定している。

⑤ 第五次環境基本計画では、東日本大震災からの復興・創生とともに、南海卜ラフ地震等における災害廃棄物の処理等今後の大規模災害発災時の対応を、重点戦略を支える環境政策の根幹の1つと位置付けている。

【正解④】

【解説】 ①正:環境基本計画とは、環境基本法第15条に基づき、環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱等を定めるものである。

②正:第五次環境基本計画は、地球規模の環境の危機を反映し、SDGsを掲げる「持続可能な開発のための2030アジェンダ」や「パリ協定」の採択など、国際的合意が立て続けになされ、我が国の現状と国際的な潮流を踏まえ、策定されたものである。

③正:環境・経済・社会の統合的向上の具体化の鍵の1つとなるのが、第五次環境基本計画で提唱する、自立・分散型の社会を形成しつつ、近隣地域等と地域資源を補完し支えあう考え方である「地域循環共生圏」である。「地域循環共生圏」は、農山漁村も都市も活かす、我が国の地域の活力を最大限に発揮する考え方である。

④誤:第五次環境基本計画では、先述の複合的な課題の解決に向け、特定の環境施策が複数の異なる経済・社会的課題をも統合的に解決することを目指す、分野横断的な6つの重点戦略(経済、国土、地域、暮らし、技術、国際)を設定している。従って、それぞれの特定課題を直接的に解決することに比重を置いた分野別の重点戦略ではない。

⑤正:第五次環境基本計画では、重点戦略を支える環境政策の展開の1つとして東日本大震災からの復興・創生及び今後の大規模災害発災時の対応に取り組むこととしている。

技術士総合技術監理部門2020択一問題解説 問37

1-1-37 気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018 による我が国の気候の長期的傾向に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 なお、猛暑日とは日最高気温が 35℃以上の日、冬日とは日最低気温がO℃未満の日、短時間強雨とは1時間降水量80mm以上の降雨無降水日とは日降水量が1mm未満の日のことをいう。また、統計期間は、年平均気温、猛暑日、冬日、無降水日については概ね 100年間、短時間強雨については概ね40年間である。

① 年平均気温は上昇しており、その上昇速度は世界の平均より大きい。

② 猛暑日の年間日数は増加している。

③ 冬日の年間日数は減少している。

④ 短時間強雨の年開発生回数は増加している。

⑤ 無降水日の年間日数は減少している。

【正解⑤】

【解説】

①正:世界の年平均気温は19 世紀後半以降100 年あたり0.72℃の割合で上昇している。日本の気温上昇は世界の平均より早い速度で上昇しており、100 年あたり1.19℃の割合で上昇している。

②正:真夏日、猛暑日のいずれの年間日数も、統計期間1931~2016年で増加傾向が現れており、猛暑日は10 年あたり0.2 日の割合で増加している

③正:冬日48の日数は、統計期間1931~2016 年で減少 している

④正:日本では、年降水量は1970 年代以降年ごとの変動が大きくなっており、短時間強雨や大雨の発生が増加している一方で、降水日数が減少する傾向が見られる。

⑤誤:日降水量1.0mm 以上の日数は減少しており、無降水日が増加していることが分かる。大雨の頻度が増加している一方で、降水日数は減少する傾向が見られる。

技術士総合技術監理部門2020択一問題解説 問36

1-1-36 リサイクル関連法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① いわゆる容器包装リサイクル法には、消費者の分別排出、市町村の分別収集、及び特定の容器を製造する事業者に対する一定量の再商品化についての定めがある。

② いわゆる家電リサイクル法ではエアコン、冷蔵庫、パソコン、カメラなどの家電について、小売業者による消費者からの引取りと製造業者等への引渡しを義務付けている。

③ いわゆる食品リサイクル法に基づき策定された基本方針では、事業系の食品ロスを2030年度までにゼロとする目標を掲げている。

④ いわゆる建設リサイクル法で、定める特定建設資材には、コンクリー卜、コンクリート及び鉄から成る建設資材、木材、建設機械で、使用済みとなった廃油などが含まれる。

⑤ いわゆる自動車リサイクル法では自動車破砕残さ、フロン類、エアバッグの3 品目については、自動車メーカーが引き取り、リサイクルすることを定めている。

【正解①】

【解説】

①正:容器包装リサイクル法の特徴は、従来は市町村だけが全面的に責任を担っていた容器包装廃棄物の処理を、消費者は分別して排出し、市町村が分別収集し、事業者(容器の製造事業者・容器包装を用いて中身の商品を販売する事業者)は再商品化(リサイクル)するという、3者の役割分担を決め、3者が一体となって容器包装廃棄物の削減に取り組むことを義務づけたことである。

②誤:家電リサイクル法の対象品目は、以下の4品目(いずれも家庭用機器のみ)が指定されている。 Ⅰ.エアコン(セパレートタイプ(壁掛け型、床置き型)・ウインドタイプ) Ⅱ.テレビ(ブラウン管式、液晶式・プラズマ式) Ⅲ.冷蔵庫・冷凍庫 Ⅳ.洗濯機・衣類乾燥機 従って、パソコン(パソコンリサイクル法)、カメラ(デジカメが小型家電リサイクル法)は家電リサイクル法の対象ではない。 小売業者は、「自らが過去に販売した家電4品目」又は「買換えの際に引取りを求められた家電4品目」について排出者から引取りを求められたとき、排出者が排出する場所(排出者の家庭など)で、引取りを行う義務がある。また、排出者から廃家電4品目を引き取ったときは、指定引取場所に運搬し、指定引取場所において製造業者等への引渡しを行う義務がある。

③誤:食品リサイクル法に基づく新たな基本方針の策定において、新たに設定された目標で、2000年度比で2030年度までに事業系食品ロス量を半減させることを目標としている。従って、事業系の食品ロスを2030年度までにゼロが誤りである。

④誤:建設リサイクル法で、定める特定建設資材は、建設資材のうち、建設資材廃棄物となった場合におけるその再資源化が資源の有効な利用及び廃棄物の減量を図る上で特に必要であり、かつ、その再資源化が経済性の面において制約が著しくないと認められるものとして政令で定めるもの(コンクリート、コンクリート及び鉄から成る建設資材、木材、アスファルト・コンクリートの4品目)である。 従って、「建設機械で、使用済みとなった廃油など」が誤りで、「アスファルト・コンクリート」が正解である。

⑤誤:自動車製造業者、輸入業者(自動車製造業者等)は、自らが製造又は輸入した自動車が使用済となった場合、その自動車から発生するフロン類、エアバッグ類及びシュレッダーダストを引き取り、 リサイクル(フロン類については破壊)を行う 。 従って、「自動車メーカー」のみとしているのが誤りで、「自動車メーカーと輸入業者」が正解である。  

技術士総合技術監理部門2020択一問題解説 問35

1-1-35 第四次循環型社会形成推進基本計画を踏まえ、令和元年5月に策定されたプラスチック資源循環戦略に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 可燃ごみ指定収集袋など、焼却せざるを得ないプラスチックには、カーボンニュートラルであるバイオマスプラスチックを最大限使用し、かっ確実に熱回収する。

② 一度使用した後にその役目を終えるプラスチック製容器包装・製品が不必要に使用・廃棄されないよう、レジ袋の有料化を義務化することなどにより、消費者のライフスタイルの変革を促す。

③ 分別・選別されるプラスチック資源の品質 ・性状等に応じて、材料リサイクル、ケミカルリサイクル、熱回収を最適に組み合わせることで、 資源有効利用率の最大化を図る。

④ 海洋プラスチック対策としては、マイクロプラスチックの海洋への流出の抑制に加え、海洋生分解性プラスチックなど海で分解される素材の開発・利用を進める。

⑤ 廃プラスチックについては、我が国のリサイクルや熱回収の技術を導入したアジア各固と連携処理するなど、グローパル戦略により対応する。

【正解⑤】

【解説】 ①正:プラスチック資源循環戦略(案)においては、基本的な対応の方向性を「3R+Renewable」としている。すなわち、[1]ワンウェイの容器包装・製品をはじめ、回避可能なプラスチックの使用を合理化し、無駄に使われる資源を徹底的に減らすとともに、[2]より持続可能性が高まることを前提に、プラスチック製容器包装・製品の原料を再生材や再生可能資源(紙、バイオマスプラスチック等)に適切に切り替えた上で、[3]できる限り長期間、プラスチック製品を使用しつつ、[4]使用後は、効果的・効率的なリサイクルシステムを通じて、持続可能な形で、徹底的に分別回収し、循環利用(リサイクルによる再生利用、それが技術的経済的な観点等から難しい場合には熱回収によるエネルギー利用を含め)を図ることとしている。特に、可燃ごみ指定収集袋など、その利用目的から一義的に焼却せざるを得ないプラスチックには、カーボンニュートラルであるバイオマスプラスチックを最大限使用し、かつ、確実に熱回収するとしている。

②正:重点戦略の1つとしてリデュース等の徹底を位置づけ、その取組の一環として「レジ袋有料化義務化(無料配布禁止等)」を通じて消費者のライフスタイル変革を促すこととした。

③正:効果的・効率的で持続可能なリサイクルとして、使用済プラスチック資源の効果的・効率的で持続可能な回収・再生利用を図るため、次のとおり取り組む。 ・分別回収、収集運搬、選別、リサイクル、利用における各主体の連携協働と全体最適化を通じて、費用最小化と資源有効利用率の最大化を社会全体で実現する、持続的な回収・リサイクルシステム構築を進める。この一環として、分別・選別されるプラスチック資源の品質・性状等に応じて、循環型社会形成推進基本法の基本原則を踏まえて、材料リサイクル、ケミカルリサイクル、そして熱回収を最適に組み合わせることで、資源有効利用率の最大化を図る。

④正:海洋プラスチック対策として、次を取り組むこととしている。Ⅰ犯罪行為であるポイ捨て・不法投棄撲滅に向けた措置を強化する。Ⅱ2020年までに洗い流しのスクラブ製品に含まれるマイクロビーズの削減を徹底するなど、マイクロプラスチックの海洋への流出を抑制する。Ⅲ地方自治体等への支援等を通じて、地域の海岸漂着物等の回収処理を進める。Ⅳ海で分解される素材(紙、海洋生分解性プラスチック等)の開発・利用を進める。 

⑤ 誤:アジア各国による輸入規制が拡大しており、これまで以上に国内資源循環が求められていることを踏まえれば、これまでの取組をベースにプラスチックの3R(リデュース、リユース、リサイクル)を一層推進することが不可欠である。

技術士総合技術監理部門2020択一問題解説 問34

1-1-34 生物多様性の保全に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① いわゆる種の保存法による個体の取扱い規制や生息地の保護など、保全に必要な措置の対象となる圏内希少野生動植物種は、環境省のレッドリストに掲載された野生動植物種と一致している。

② いわゆるラムサール条約は、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地を対象としており、人工のものや一時的なものは含まれない。

③ いわゆるワシントン条約は、絶滅のおそれのある野生動植物の保護を目的としているが、絶滅のおそれの程度に応じて、条件が整えば学術目的や商業目的のための国際取引は可能である。

④ 産業構造の変化等に伴う里山林などの資源利用の減少は、我が圏全体として、里地里山における生物多様性の質と量の両面での向上につながるものと期待されている。

⑤ いわゆる外来生物法における特定外来生物には、生きている個体及びその器官に限らず、死んだ個体も含まれる。

【正解③】

【解説】

①誤:種の保存法の国内に生息・生育する希少野生生物については、レッドリストに掲載されている絶滅のおそれのある種(絶滅危惧I類、II類)のうち、人為の影響により生息・生育状況に支障をきしているものの中から、国内希少野生動植物種を指定し、個体の取り扱い規制、生息地の保護、保護増殖事業の実施など保全のために必要な措置を講じている。

②誤:特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(ラムサール条約)では、「湿地とは、天然のものであるか人工のものであるか、永続的なものであるか一時的なものであるかを問わず、更には水が滞っているか流れているか、淡水であるか汽水であるか鹹水(海水)であるかを問わず、沼沢地、湿原、泥炭地又は水域をいい、低潮時における水深が6メートルを超えない海域を含む。」(条約第1条1)と定義している。

③正:ワシントン条約では、国際間の商業目的の過度の取引による種の絶滅を防ぐため、絶滅のおそれがあり、保護が必要と考えられる野生動植物の種について附属書にリストアップし、さらに絶滅のおそれの程度に応じて附属書の内容を三区分(附属書I~III)に分類し、それぞれの必要性に応じて、国際取引の規制を行うこととしている。 

④誤:里地里山とは、原生的な自然と都市との中間に位置し、集落とそれを取り巻く二次林、それらと混在する農地、ため池、草原などで構成される地域です。農林業などに伴うさまざま人間の働きかけを通じて環境が形成・維持されてきました。里地里山は、特有の生物の生息・生育環境として、また、食料や木材など自然資源の供給、良好な景観、文化の伝承の観点からも重要な地域です。しかし、里地里山の多くは人口の減少や高齢化の進行、産業構造の変化により、里山林や野草地などの利用を通じた自然資源の循環が少なくなることで、大きな環境変化を受け、里地里山における生物多様性は、質と量の両面から劣化が懸念されている。

⑤誤:「特定外来生物」とは、外来生物(海外起源の外来種)であって、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものの中から指定されます。 特定外来生物は、生きているものに限られ、個体だけではなく、卵、種子、器官なども含まれる。

技術士総合技術監理部門2020択一問題解説 問33

1-1-33 気候変動適応法や気候変動適応計画に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 政府には、気候変動適応計画を策定する義務があり、都道府県には、その区域における地域気候変動適応計画を策定する努力義務がある。

② 気候変動適応に関する施策を推進するため、 国及び地方公共団体の責務が定められるとともに、事業者及び国民に対して、国及び地方公共団体が進める施策に協力することが求められている。

③ 気候変動適応計画は、我が国唯一の地球温暖化に関する総合計画であり、主な内容として、国内の温室効果ガスの排出削減目標と目標達成のための対策が取りまとめられている。

④ 国立研究開発法人国立環境研究所が果たすべき役割として、気候変動影響及び気候変動適応に関する情報の収集、整理、分析などを行うことが定められている。

⑤ 気候変動適応に関する施策の効果の把握・評価については、適切な指標設定の困難さや効果の評価に長期間を要することもあり、諸外国においても具体的な手法は確立されていない。

【正解③】

【解説】

①正:政府は、気候変動適応に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、気候変動適応に関する計画を定めなければならない。都道府県及び市町村は、その区域における自然的経済的社会的状況に応じた気候変動適応に関する施策の推進を図るため、単独で又は共同して、気候変動適応計画を勘案し、地域気候変動適応計画を策定するよう努めるものとする。

②正:気候変動適応の推進に関しては、国だけでなく、地方公共団体、事業者、国民等、多様な関係者がそれぞれ以下の基本的役割を担いながら、相互に密接に連携して取り組むことにより、相乗的な効果を発揮することが期待される。

③誤:内容は平成27年に閣議決定した地球温暖化対策計画である。地球温暖化対策計画は、地球温暖化対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、地球温暖化対策推進法第8条に基づいて策定した、我が国唯一の地球温暖化に関する総合計画であった。我が国の中期目標として、「日本の約束草案」に基づき、国内の排出削減・吸収量の確保により、2030年度において、2013年度比26.0%減(2005年度比25.4%減)の水準にすることとした。また、2020年度の温室効果ガス削減目標については、2005年度比3.8%減以上の水準にすることとした。  気候変動適応計画は、気候変動適応法(平成30年制定)第7条第1項に基づき策定するものである。気候変動対策として緩和策と適応策は車の両輪であり、政府においては、地球温暖化対策の推進に関する法律(平成10 年法律第117 号)及びそれに基づく地球温暖化対策計画並びに気候変動適応法及び本計画の二つの法律・計画を礎に、気候変動対策を着実に推進していくこととなっている。

④正:国立環境研究所は、国、地方公共団体、事業者、国民等、あらゆる主体が科学的知見に基づき気候変動適応を推進できるよう、気候変動適応に関する情報基盤である気候変動適応情報プラットフォームの充実・強化を図り、気候変動影響及び気候変動適応に関する情報の収集、整理、分析及び提供を行う。

⑤正:気候変動適応計画の効果的な推進のためには、それぞれの施策が気候変動影響による被害の回避・軽減にどれだけ貢献したのかなど、気候変動適応に関する施策の効果を定量的に把握・評価していくことが重要である。しかしながら、気候変動適応に関する施策の効果を把握・評価する手法は、適切な指標の設定が困難であること、効果の評価を行うには長い期間を要すること等の課題があり、諸外国においても具体的な手法は確立されていない。

技術士総合技術監理部門2020択一問題解説 問4

Ⅰ-1-4 計画・管理における科学的・数理的手法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① 線形計画問題は、一般に、変数が整数値をとることを条件として加えると解くことが容易になる。

② 多目的最適化では、通常、パレート最適解がただ1つ求まる。

③ ゲーム理論は、意思決定をする主体が複数存在する状況を数学的に取り扱う方法論であり、非協力ゲームと協力ゲームとに大きく分けることができる。

④ デルファイ法では、複数の参加者が、回覧されるシートに各自のアイデアを記入していくことで、1 人で考えながらも全員の協同作業でアイデアを広げていくことを目指す。

⑤ 階層化分析は、分析対象のすべてをいくつかの群に分ける手法であり、何らかの基準に従って似ているものが同じ群に入るように分類する。

【正解③】

【解説】科学的・数理的手法については,全てキーワードから出題されている。

①誤:線形計画法は,目的関数f(x),制約条件gi(x),hi(x)が全て一次関数である線形計画問題を解くための方法である。変数が整数である条件が追加された線形計画問題は,整数計画法であり,定式化できる対象は増加するが,解く事は難しくなるため,記述は誤り。

②誤:多目的最適化とは、トレードオフの関係にある複数の目的関数を同時に求める最適化法である。多目的最適化で得られる解は、一般にパレート解と呼ばれ、パレート最適解は一般に無限個存在する。よって、記述は誤り。そのため、意思決定者の選好により最良な妥協解を選択する必要がある。目的関数や制約条件に確率変数が入ることもあるが、適当な変形により非線形計画問題に帰着することができる。

③正:ゲーム理論とは,人々の動きや考え方をゲーム的に捉え、それぞれのプレイヤーの行動を分析したり、予想したりするための考え方である。複数の意思決定主体が存在する状況における意思決定の理論であり、ゲーム理論の基本的な考え方は、ある主体が意思決定をする際に、ほかの主体が自分の行動にどう対応してくるかを予測したうえで、自分にとって有利となる行動を決定することである。ゲーム理論は,想定するプレイヤーの行動様式の違いによって,協力ゲームと非協力ゲームの2つに分かれて発展している。

④誤:デルファイ法とは、米国の大手シンク・タンクであるランド研究所が開発した意見集約の手法である。予想したいテーマに対して多数の専門家の意見を求め、得られた回答を統計的にまとめ、さらにその結果を添えて専門家たちに再検討させる手続きを複数回繰り返すことで意見を収斂させていく。記述はブレインライティングであるため,誤りである。

⑤誤:階層化分析とは,意思決定者が自分で抱える問題の構造がはっきりしないとき,その構造を問題(目的)-評価基準-代替案の3層の階層図で表現した上で,評価基準や代替案の一対比較から代替案の重要度を求める方法である。意思決定者が1人ではなく,複数の人がコンセンサスをつくりながら意思決定する場合にも適用が可能である。記述は親和図法(KJ法)である。

技術士総合技術監理部門2020択一問題解説 問3

Ⅰ-1-3 プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド) 第6版に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① プロジェクトとは、独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施される有期的な業務のことをいう。

② CPMは、プロジェクト・チームがプロジェクト目標を達成するために実行する作業の全範囲を階層的に分解したものである。

③ アクティビティ所要期間の見積りやコストの見積りに用いられる技法として、三点見積りやパラメトリック見積りがある。

④ ガントチャートは、スケジュール情報を視覚的に示す図の1つであり、縦軸にアクティビティをリストアップし、横軸に時間軸をとる。

⑤ リスク対応の計画において、脅威に対処するために考慮され得る戦略として、回避、軽減、転嫁、受容などがある。

【正解②】

【解説】PMBOKの内容についての理解に関する問題。選択肢③は,プロジェクトのコスト見積りの技法の種類にどのようなものがあるのか理解していないと回答できない。

①正:プロジェクトとは,一連の調整された,管理された,開始日と終了日のある活動からなり,時間,コスト及び経営資源の制約を含む特定の要求事項に適合する目標を達成するために実施される特有のプロセス(ISO10006)に定義されている。

②誤:CPM(Critical Path Method)とは,PERTの計算を前提とし,総所要時間が納期内に収まるよう,クリティカル・パス上の作業に対して,費用をかけて帰還を短縮する最適(コスト最小)な期間短縮方法を見出す手法である。作業の全範囲を階層的に分解するのは作業分解図(WBS:Work Breakdown Structure)である。

③正:三点見積りは,プロジェクトの作業時間や,その作業の金額を楽観値,最可能値,悲観値の三点から見積る手法である。パラメトリック見積りは,関連する過去のデータとその他の変数との統計的関係を用いて,プロジェクト作業のコストを見積もる技法である。よって,問題文の記述は正しい。

④正:ガントチャートの記述として正しい。ガントチャートは,作業の開始日から完了日までの期間をバーで示し、作業における依存関係を,矢印などを使用して視覚的に表したもので,工場などで人員や工程の管理などに利用される。

⑤正:リスク対応の計画とは,リスク評価のことで,リスク解析により算定されたリスクの大小及びその特性によって決定するもので,リスク保有(受容),リスク低減(軽減),リスク回避,リスク移転がある。

技術士総合技術監理部門2020択一問題解説 問1

Ⅰ-1-1 品質管理で用いられる図やグラフと,そこから読み取ることのできる内容の例の組み合わせとして,最も適切なものはどれか。

① 系統図:ある工場で作られる部品の重量について,平均値は規格の中心とほぼ一致しているが,分布の幅は規格の幅よりも大きい。

② 連関図:ある製品について,日々の不適合品率が一定の範囲内で推移しており,製造工程は安定した状態にある。

③ 管理図:ある製品部品の寸法誤差と作業時間との関係について,作業時間が短いほど寸法誤差が大きい傾向にある。

④ パレート図:ある書類の記入項目のうち,不備件数の最も多い「日付」と,その次に多い「口座番号」の2つで,不備件数のおおよそ80%を占めている。

⑤ ヒストグラム:ある商品について,顧客満足度に対する影響は,価格よりもアフターサービスの方が大きい。

【正解④】

【解説】

「QC7つ道具」と「新QC7つ道具」に関する問題。QC7つ道具とは,データを定量的に分析することで,品質管理/改善を可能とする統計的手法である。また,新QC7つ道具とは,主として言語データを図に整理することによって,問題の解決を図る手法である。

①誤:系統図は,新QC7つ道具のひとつで,目的を果たすための手段を目的として捉え直し,その手段を考える作業を複数回展開し,目的と手段を枝分かれさせながら多段階展開する手法である。問題文の内容は,工程能力指数に関する記述である。

②誤:連関図は,新QC7つ道具のひとつで,問題点とそれに関係する要因を短文で表現し,それらの因果関係を表現する手法である。管理図に関する記述である。

③誤:管理図は,QC7つ道具のひとつで,データを時系列的に観察して,工程状態を判断し,管理するための折れ線グラフである。問題文では,製品の作業時間と寸法誤差の関係を述べているため,散布図に関する記述である。

④正:パレート図は,QC7つ道具のひとつで,データを分類項目別に分け,それらを多い順に並べて,棒グラフと占有率の累積折れ線グラフで表した図である。問題文には,分類項目2つと占有率80%の記載があるため,パレート図の内容として正しい。

⑤誤:ヒストグラムとは,QC7つ道具のひとつで,データの存在する範囲をいくつかの区間に当分し,各区間に入るデータの数を縦軸にとった柱状のグラフである。顧客の満足度に対する影響度は要因を項目で整理しているため,内容はマトリックス図に関する記述であり,ヒストグラムに関する内容としては誤り。