技術士総合技術監理部門2020択一問題解説 問34

1-1-34 生物多様性の保全に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① いわゆる種の保存法による個体の取扱い規制や生息地の保護など、保全に必要な措置の対象となる圏内希少野生動植物種は、環境省のレッドリストに掲載された野生動植物種と一致している。

② いわゆるラムサール条約は、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地を対象としており、人工のものや一時的なものは含まれない。

③ いわゆるワシントン条約は、絶滅のおそれのある野生動植物の保護を目的としているが、絶滅のおそれの程度に応じて、条件が整えば学術目的や商業目的のための国際取引は可能である。

④ 産業構造の変化等に伴う里山林などの資源利用の減少は、我が圏全体として、里地里山における生物多様性の質と量の両面での向上につながるものと期待されている。

⑤ いわゆる外来生物法における特定外来生物には、生きている個体及びその器官に限らず、死んだ個体も含まれる。

【正解③】

【解説】

①誤:種の保存法の国内に生息・生育する希少野生生物については、レッドリストに掲載されている絶滅のおそれのある種(絶滅危惧I類、II類)のうち、人為の影響により生息・生育状況に支障をきしているものの中から、国内希少野生動植物種を指定し、個体の取り扱い規制、生息地の保護、保護増殖事業の実施など保全のために必要な措置を講じている。

②誤:特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(ラムサール条約)では、「湿地とは、天然のものであるか人工のものであるか、永続的なものであるか一時的なものであるかを問わず、更には水が滞っているか流れているか、淡水であるか汽水であるか鹹水(海水)であるかを問わず、沼沢地、湿原、泥炭地又は水域をいい、低潮時における水深が6メートルを超えない海域を含む。」(条約第1条1)と定義している。

③正:ワシントン条約では、国際間の商業目的の過度の取引による種の絶滅を防ぐため、絶滅のおそれがあり、保護が必要と考えられる野生動植物の種について附属書にリストアップし、さらに絶滅のおそれの程度に応じて附属書の内容を三区分(附属書I~III)に分類し、それぞれの必要性に応じて、国際取引の規制を行うこととしている。 

④誤:里地里山とは、原生的な自然と都市との中間に位置し、集落とそれを取り巻く二次林、それらと混在する農地、ため池、草原などで構成される地域です。農林業などに伴うさまざま人間の働きかけを通じて環境が形成・維持されてきました。里地里山は、特有の生物の生息・生育環境として、また、食料や木材など自然資源の供給、良好な景観、文化の伝承の観点からも重要な地域です。しかし、里地里山の多くは人口の減少や高齢化の進行、産業構造の変化により、里山林や野草地などの利用を通じた自然資源の循環が少なくなることで、大きな環境変化を受け、里地里山における生物多様性は、質と量の両面から劣化が懸念されている。

⑤誤:「特定外来生物」とは、外来生物(海外起源の外来種)であって、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものの中から指定されます。 特定外来生物は、生きているものに限られ、個体だけではなく、卵、種子、器官なども含まれる。

技術士総合技術監理部門2020択一問題解説 問33

1-1-33 気候変動適応法や気候変動適応計画に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 政府には、気候変動適応計画を策定する義務があり、都道府県には、その区域における地域気候変動適応計画を策定する努力義務がある。

② 気候変動適応に関する施策を推進するため、 国及び地方公共団体の責務が定められるとともに、事業者及び国民に対して、国及び地方公共団体が進める施策に協力することが求められている。

③ 気候変動適応計画は、我が国唯一の地球温暖化に関する総合計画であり、主な内容として、国内の温室効果ガスの排出削減目標と目標達成のための対策が取りまとめられている。

④ 国立研究開発法人国立環境研究所が果たすべき役割として、気候変動影響及び気候変動適応に関する情報の収集、整理、分析などを行うことが定められている。

⑤ 気候変動適応に関する施策の効果の把握・評価については、適切な指標設定の困難さや効果の評価に長期間を要することもあり、諸外国においても具体的な手法は確立されていない。

【正解③】

【解説】

①正:政府は、気候変動適応に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、気候変動適応に関する計画を定めなければならない。都道府県及び市町村は、その区域における自然的経済的社会的状況に応じた気候変動適応に関する施策の推進を図るため、単独で又は共同して、気候変動適応計画を勘案し、地域気候変動適応計画を策定するよう努めるものとする。

②正:気候変動適応の推進に関しては、国だけでなく、地方公共団体、事業者、国民等、多様な関係者がそれぞれ以下の基本的役割を担いながら、相互に密接に連携して取り組むことにより、相乗的な効果を発揮することが期待される。

③誤:内容は平成27年に閣議決定した地球温暖化対策計画である。地球温暖化対策計画は、地球温暖化対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、地球温暖化対策推進法第8条に基づいて策定した、我が国唯一の地球温暖化に関する総合計画であった。我が国の中期目標として、「日本の約束草案」に基づき、国内の排出削減・吸収量の確保により、2030年度において、2013年度比26.0%減(2005年度比25.4%減)の水準にすることとした。また、2020年度の温室効果ガス削減目標については、2005年度比3.8%減以上の水準にすることとした。  気候変動適応計画は、気候変動適応法(平成30年制定)第7条第1項に基づき策定するものである。気候変動対策として緩和策と適応策は車の両輪であり、政府においては、地球温暖化対策の推進に関する法律(平成10 年法律第117 号)及びそれに基づく地球温暖化対策計画並びに気候変動適応法及び本計画の二つの法律・計画を礎に、気候変動対策を着実に推進していくこととなっている。

④正:国立環境研究所は、国、地方公共団体、事業者、国民等、あらゆる主体が科学的知見に基づき気候変動適応を推進できるよう、気候変動適応に関する情報基盤である気候変動適応情報プラットフォームの充実・強化を図り、気候変動影響及び気候変動適応に関する情報の収集、整理、分析及び提供を行う。

⑤正:気候変動適応計画の効果的な推進のためには、それぞれの施策が気候変動影響による被害の回避・軽減にどれだけ貢献したのかなど、気候変動適応に関する施策の効果を定量的に把握・評価していくことが重要である。しかしながら、気候変動適応に関する施策の効果を把握・評価する手法は、適切な指標の設定が困難であること、効果の評価を行うには長い期間を要すること等の課題があり、諸外国においても具体的な手法は確立されていない。

技術士総監ソング「プラスチックごみの歌」

総監キーワード「海洋プラスチックごみ問題」について、替え歌を作りました。

聴覚から覚え、海洋プラスチック問題について考えてみませんか。

歌詞

プラスチックごみ
増えてるぜ

プラスチックごみ
海に流れてるぜ 1位中国、アジア

海の中には1億5千万トン

ペットボトル プラボトル
容器類 漁網にロープに ブイブイ
ポリ袋 発泡スチロール

地球規模で広がる プラスチック

魚も食べちゃう マイクロ プラスチック

船舶航行 障害

観光 漁業にも影響

魚の量より多いぜ 

年間800万トン

手遅れになるまえに 再利用!

発生抑制 製造

リサイクルリユースリデュース

手遅れになる前に さあ 3R!

どうなる!?技術士総監キーワード2021勝手に予想

 

総監キーワード2020で新規追加されたキーワード、択一問題に意外と出ませんでしたね。。しかし、筆記試験を突破しても「口頭試験」が控えています。その時のためにも2020のキーワードはもちろん、2021で追加されるであろうキーワードも予測する必要があります。

 総監の口頭試験では「あなたが〇〇の立場だったらどう考えるか、5つの管理で言ってください」というのがよくあるらしいです(私は受けたことないのですが・・・)

とりあえず、新キーワードの予想です。

Society5.0

 ソサエティ5.0と読みます。これは2020の択一問題で出ましたね。

 サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)

 狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。(内閣府より)

バイオマスプラスチック

 再生可能なバイオマス資源を原料に、化学的または生物学的に合成することで得られるプラスチック。
 それを焼却処分した場合でも、バイオマスのもつカーボンニュートラル性から、大気中のCO2の濃度を上昇させないという特徴がある。これにより、地球温暖化の防止や化石資源への依存度低減にも貢献することが期待される(バイオプラスチック協会より)

 2020年新キーワードの、海洋プラスチック問題の解決策になりますね。しかし、おそらく高額なため、経済性管理とのトレードオフが考えられます。また、原料がトウモロコシ等の食品であるため、食料不足も懸念されますが、後述する食品ロスとの関係で考えることができそうです。

自動運転/超小型モビリティ

 自動運転の問題は2020に出題されましたね。新東名高速道路の隊列走行トラックを思い浮かべた人もいるのではないでしょうか

 「超小型モビリティ」

 超小型モビリティとは、自動車よりコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動の足となる1人~2人乗り程度の車両をいいます。(国土交通省)

 環境にやさしい、がキーワードになりそうですね。また法定速度が60km/hに限定されるなど、「建設部門ー道路」のキーワードにもなりそうです。

航空法/電波法

 2020年も出題された「ドローン」に関するキーワードです。

 もう2回ほど出題されたので、そろそろ出ないかもしれませんが・・・。また、電波法(陸上特殊無線技士)の知識が求められるかもしれません。

国土交通省ポスターより

5G

 あらゆるモノが繋がるIoTの進展に伴い、その基盤となる通信ネットワークの重要性は飛躍的に増大する。画像や動画を始めとして大容量の情報が多数やりとりされるようになり、社会に存在するあらゆる機器が接続されることになればその数も膨大なものとなる。また、遠隔医療のように機器をネットワーク経由でタイムラグなくスムーズに操作することが求められる場面も増える。本格的なIoT時代を迎えるにあたり、こういった要請に応える通信システムが求められる。

 移動通信のシステムは、音声主体のアナログ通信である1Gから始まり、パケット通信に対応した2G、世界共通の方式となった3Gを経て、現在ではLTE-Advanced等の4Gまでが実用化されている。これに続く次世代のネットワークとして注目されているのが5G、即ち第5世代移動通信システムである。

 5Gは2020年の実現を目指し、世界各国で取組が進められている。グローバルの携帯電話事業者による業界団体GSMAによれば、2020年以降世界の5G回線数は、約5年で11億回線、世界人口に対するカバー率は約3割に達すると予測している(平成30年版 情報通信白書 より)

グリーンボンド

 企業や地方自治体等が、国内外のグリーンプロジェクトに要する資金を調達するために発行する債券をグリーンボンドと呼びます。

  1. 調達資金の使途がグリーンプロジェクトに限定される。
  2. 調達資金が確実に追跡管理される。
  3. それらについて発行後のレポーティングを通じ透明性が確保される。

(グリーンボンド発行促進フォーラムより)

ちょっとわかりにくいですが、「ESG投資」と関連しそうですね。

ソーシャルビジネス

 地域社会においては、環境保護、高齢者・障がい者の介護・福祉から、子育て支援、まちづくり、観光等に至るまで、多種多様な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて、住民、NPO、企業など、様々な主体が協力しながらビジネスの手法を活用して取り組むのが、ソーシャルビジネスです。(経済産業省より)

 高齢者、障がい者関連のキーワードが出た今、注目されるキーワードと考えます。

指定感染症

 言わずと知れた新型コロナウィルス関連です。

しかし、法律としてみるとややこしいみたいです。

厚生労働省より

 指定感染症は第1類~5類に分けられていますが、新型コロナは現時点で1類~5類のどこかに位置づけるというものではない、ようです。ちょっと問題が作りにくいかもしれませんね。

食品ロス

「食品ロスの削減の推進に関する法律」(略称 食品ロス削減推進法)が、令和元年5月31日に令和元年法律第19号として公布され、令和元年10月1日に施行されました。

・世界には栄養不足の状態にある人々が多数存在する中で、とりわけ、大量の食料を輸入し、食料の多くを輸入
に依存している我が国として、真摯に取り組むべき課題であることを明示
・食品ロスを削減していくための基本的な視点として、①国民各層がそれぞれの立場において主体的にこの課題に取り組み、社会全体として対応していくよう、食べ物を無駄にしない意識の醸成とその定着を図っていくこと、②まだ食べることができる食品については、廃棄することなく、できるだけ食品として活用するようにしていくことを明記


→多様な主体が連携し、国民運動として食品ロスの削減を推進するため、本法を制定する旨を宣言(食品ロスの削減の推進に関する法律の概要)より

 まさに社会的問題で、前述した、バイオプラスチックとの関わりと連携させる考え方もありますね。農業部門でも出題されるかもしれません。

おわりに

 いかがでしたでしょうか?(引用文ばかりですが)総監キーワードは考えればキリが無いのですが、日々の新しい出来事や社会的問題の法律やルールを知る、という習慣が必要ですね・・・。

技術士総合技術監理部門2020択一問題解説 問40

1-1-40 様々な組織の社会的責任と環境管理活動に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① IS0 26000は、企業だけでなく様々な組織の社会的責任に関する国際規格であり、我が国ではJIS化されている。

② エコアクション21 は、中小事業者にも取組みやすい環境マネジメントシステムとして策定されたものであり、近年、建設業者や食品関連事業者向けのガイドラインも公表されている。

③ トリプルボトムラインとは、企業の持続可能性についての考え方であり、企業活動を経済の観点のみならず環境と人的資源の観点からも評価しようとするものである。

④ ESG投資とは、環境、社会、企業統治に配慮している企業を重視・選別して行う投資のことをいい、国際連合が提唱した責任投資原則の基本となる考え方である。

⑤ 環境会計とは、企業等が、事業活動における環境保全のためのコストとその活動により得られた効果を認識し、可能な限り定量的に測定し伝達する仕組のことである。

③が不適切  企業の経済的側面、社会的側面及び環境的側面の三つの側面について、述べるべきことを言うものであり「人的資源」が不適切である。

総合技術監理部門論文(社会環境管理)の書き方

2020年9月21日、技術士(総合技術監理部門)を受験してきた。

この時、何点か変更点があった。

1.他の部門の技術士が見てもわかりやすいように工夫すること

 これは、採点者が不足しているからだろうか。しかし総合技術監理部門は専門知識は求められないため、一般的な文章で書くスキルは必要だ。専門知識に偏りがちな人にはちょうどいい注意事項だ。

2.問題用紙に余白ができた。

 これは、再現論文を起こしたり、骨子を作成する上で十分なスペースが無いというクレームがあったかららしい。A43枚程度の紙が追加されて、再現論文作成には大変ありがたい。

3.問題文も3枚になった。

 上記に伴い、問題用紙も3枚に増えていた。気のせいか読みづらく、全てを読み切るのは困難な気がした。

社会環境管理的な文章の書き方

 環境部門や、工事現場、製造会社などに勤務していない、いわゆる「デスクワーク型」の技術士にとっては、社会環境管理で書くのは困難だ。しかし書けないことも無いので一例を紹介する。

1.社会環境への負荷は発生しないと考えられる。

 本当に何もないときは、この一文でもあれば、5つの管理を理解していると捉えてもらえるだろう。論文のテーマに対し5つ書くのは困難なため、どうしても社会環境管理が使えないときの一文だ。

2.ISO14001/エコアクション21の認証を受ける

 これは総監キーワードですね。中小企業勤務の場合はエコアクション21を書くことが出来るでしょう。会社の経営者の立場となって考えましょう。総監の究極の目的は「組織の存続」です。

3.環境会計の実施、環境報告書への記載

 これも総監キーワードの一つです。何か環境負荷低減施策を行い、それを「見える化」し、環境報告書を通じて国民や他企業へPRする活動をすることで、組織の存続につながります。

4.環境ラベルのついた商品の使用

 1.で何もない、と思った方におすすめ。これも総監キーワードです。エコマークやグリーンマークをはじめとした環境ラベル付きの商品を職場でも使用しているのではないでしょうか?

5.バイオマスプラスチック製品の使用

  「バイオマスプラスチック」は総監キーワードには無いが、「海洋プラスチック問題」がキーワードである。つまり、生物由来のプラスチックを使用することで微生物により分解され、海洋プラスチック問題を組織として解決していく、という考え方だ。2020筆記試験は終わりましたが、口頭試験でも使えるネタなので、是非頭の片隅に入れてほしい。

6.バイオマスエネルギーの使用

 こちらもキーワードには無いが、例えば草刈や伐採木、ふんなどをバイオマスエネルギーとして活用することを 3.の環境報告書などでPRすることで組織の存続を図ることができる。

 以上のように、デスクワーク型でも書けるネタはそれなりにあることを意識しておこう。