技術士総合技術監理部門2020択一問題解説 問27

1-1-27 技術の安全に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 定格出力が80wを超える産業用ロボッ トにおいては、労働安全衛生法で定められた危険性等の調査に基づく措置を実施し、危険のおそれが無くなったと評価できるときは、人との協働作業が可能である 。

⇒適切 労働安全衛生規則第150条の4において、「事業者は、産業用ロボットを運転する場合において、運転中の産業用ロボットに接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、さく又は囲いを設ける等当該危険を防止するために措置を講じなければならない」と規定されている。

 また、労働安全衛生規則では、労働者と産業用ロボットの協働作業は認められていない。ただし、定格出力80ワット以下は、規制対象外。(労働安全衛生法における産業用ロボット規制の概要より)

 しかし、労働者と産業用ロボットの協働作業における安全条件が、国際的にも議論され確立されつつあるため、労働安全衛生法における産業用ロボット規制に、当該安全条件を導入することを検討する動きもあり、今後の動きにも注視が必要です。


② 患者と一体となって運動する機能回復ロボッ卜の安全性については、国際標準が発行されたことから、我が国の先端医療技術の国際市場への導入促進が期待されている。

⇒適切 機能回復を行うためのロボットは世界各国で開発され、利用され始めています。しかしながら、患者と一体となって運動するロボット機器という特殊性があること、また、既存の複数の要求事項の解釈に幅があることから、世界各国の承認審査基準は整合していませんでした。今般、これを解決すべく、日本の提案により、機能回復ロボットの安全性に関する国際標準が発行されました。これにより、日本の先端医療技術の国際市場への導入促進が期待されます。(経済産業省ニュースリリース 2019年7月23日より)

機能回復ロボットの例(IEC 80601-2-78より)

 なお、同じ年に「手術ロボット」も国際標準が発行されています。来年も同様の問題が出るかもしれません。


③ AIによって多くの社会システムが自動化され安全性が向上する一方で、新たなリスクも生じることから、社会はAIのベネフィットとリスクのバランスに留意する必要がある。

⇒適切  AIで全て自動化するのではなく、人間によるキャリブレーションが必要であったり、人間が手を加えることも時には必要である


④ 遠隔型自動運転システムの公道実証実験において、一定の基準を満たす場合には、1名の遠隔監視・操作者が複数台の実験車両を走行させることができる 。

⇒適切 例えば、新東名高速道路などで実験されている「隊列走行トラック」がある。(運転手は先頭の1名のみ)

(写真:国土交通省より)
総務省チャンネルより

⑤ IoT機器では、サイバー攻撃を受けた場合にその影響が当該機器にとどまるため、他の関連するIoTシステムやIoTサービスへの波及を回避できる。

⇒不適切 IoT機器は、機器の性能が限定されている、管理が行き届きにくい、ライフサイクルが長いなど、サイバー攻撃に狙われやすい特徴を持っています。セキュリティ対策に不備があるIoT機器は、マルウェアに感染しサイバー攻撃に悪用されるおそれがあります。諸外国においては、IoT機器を悪用した大規模なサイバー攻撃(DDoS攻撃)によりインターネットに障害が生じるなど、深刻な被害が発生している。(総務省 脆弱なIoT機器及びマルウェアに感染しているIoT機器の利用者への注意喚起の実施状況 より)


以上より⑤が最も不適切である。

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